 vol.28
|
このページでは、日本各地に潜む物の怪を毎回1匹ずつピックアップ。オリヂナルイラストをつけて紹介してゆきます。
|


かつて近江国甲賀郡に現れたと謂う怪。夜な夜な大路を車のきしる音をさせて通ると謂う。ある人が、その姿を一目見てやろうとして戸の隙間から覗き見ていたら、寝屋に寝かせていた我が子を隠されてしまった。嘆き悲しんだその人は「つみとがはわれにこそあれ小車のやるかたわかぬ子をばかくしそ」と謂う歌を書いて貼っておいた処、その夜、「やさしの人かな。されば子をかへすなり」という女の声がして、子供が投げ入れられた。この話は石燕の解説に依るごくシンプルなものを引用したが、石燕が参考にした「諸国里人談」にはもう少し事の子細が詳しく書かれているようである。また「諸国百物語」にはストーリーのバリエーション違いも存在している。その姿は引く人のいない、片方しか車輪がない車に乗った美しい女性であるとも謂われ、石燕もそのような繪を充てている。物怪観光のお化け繪は、器物の怪のようなイメージで描かれている。
<参考文献>
「鳥山石燕 画図百鬼夜行」 高田衛監修 稲田篤信・田中直日編
|
|