このページでは、日本各地に伝わる物の怪に纏わる物産を、物の怪観光が誇る物怪博物館コレクションの中から毎回一点づつ紹介してゆきます。




今も数多くの郷土玩具が伝えられている鳥取県に、素朴な土人形がある。素焼きの人形に彩色された、5センチ前後の可愛らしい人形だ。東伯郡の北条町で作られているので北条人形と謂うが、作者である加藤廉兵衛氏の名前から「れんべい人形」の名前でも親しまれている。温かみのある丸みを帯びた独特の形で、彩色も綺麗だ。種類も豊富で200種類程あり、いずれも地元近辺の神話や伝承をモチーフにした物ばかりである。解説書に書かれている物で気になるのは「三面鬼」「三徳の天狗」「大山の白狐」等々。バラエティに富んだ物の怪達を廉兵衛氏がどのように料理しているのか、とても興味のある処である。今回紹介するのはその内の「東郷池の河童」である。河童に田圃の水口を止められた松崎の五助は、娘を嫁にやる事を約束して水を貰うが、可愛い娘を河童のもとへ嫁がせる事を後悔し、思案にくれていた。しかし嫁に行く事になった末娘は機転を利かせて、河童に「池の底は泥んこで嫌だから瓢箪を敷き詰めて欲しい」と頼む。河童は、敷いても敷いても浮いてくる瓢箪に疲れて、「マァかなわんけ、嫁にきてござあでもエエけ」と言い残していなくなってしまった。以来東郷池には河童はいないのだと謂う。(一部添付解説書より抜粋)人形はどこか憎めない河童の表情を上手く表現している。民芸品の世界では数も多く、キャラクター化され過ぎていて、あまり面白みに欠けるモチーフと思われがちな河童だが、廉兵衛氏の手にかかると、ちゃんとれんべい人形の河童になっている。灰色の体に青色の甲羅という色使いもなかなか面白い。シンプルながらも丁寧な塗り、そしてなんといってもこの丸みを帯びた温かみのあるフォルムが魅力で、各地にファンも多い。最近は高齢の為、あまり数を生産していないとのことなので、お気に入りの人形を見つけたら、是非とも購入をお勧めする。価格1000円也(郷土玩具展販売価格)。