このコーナーでは、毎回巷にあふれる様々な商品の中から、その存在自体不思議な物の怪テイストのアイテムをエッセイ風に紹介します。



以前、特集で「2001年月への旅」と題して月の妖怪や月に纏わる不思議な話を紹介した事がある。月は私達にとって大変身近で、古くから関わりの深い星である。しかし個人的に物の怪感覚をくすぐる星と言えばなんといっても火星である。人類に古くから知られている赤い惑星には常に宇宙人の陰があった。1938年放送のラジオ番組「宇宙戦争」が全米をパニックに陥れた話はあまりにも有名だが、1958年にはシェブ・ウーリーの「The Purple People Eater(ロックを踊る火星人)」が全米ヒットチャート一位を獲得したり、1960年代に発売されていた火星人カードをモチーフに巨匠ティム・バートンが映画「マーズ・アタック」を撮影したりと、宇宙人の定番といえば常に火星人であった。探査船からの本格的な映像が入るようになってからも、火星表面には全長1.6キロに及ぶ巨大な顔の形の建造物があるだの、3キロにも及ぶピラミッドがあるだのと水曜スペシャル世代の私の感性を刺激し続けた。そんな淡い火星人への想い冷めやらぬ今から10数年前、「これからの人間はグローバルじゃなきゃ。」と一念発起した私は、部屋に置く為の地球儀を探しに行った。そこで出会ってしまったのが、この火星儀である。ぼんやりしている間に火星の土地には随分と地名が付けられていたものだ。人類の火星征服計画は着実に進行していたのだ!地球の地理もままならないのに、何を考えているんだとは思ったが、こうしてはいられないと思わず衝動買いしてしまった。家に持って帰ってから真っ先にシドニア平原に巨大な顔を探した事は言うまでもない。当然小さな模型にそんな物が描かれている筈もなかった。しかも最近の火星探査ではこの巨大な顔は単なる岩である事が判明した。水スペ世代には衝撃的なニュースだったかもしれない。その一方で氷が存在している事も確認され、なんらかの生物が存在している可能性も出てきた。人類の宇宙開発技術は私達の想像力をどんどん追い越して行く。現在発売されている火星儀は最新の情報を盛り込み、表面の凸凹もリアルに表現されている。インターネットでは火星の現在の地表の様子を発信してくれるナビゲーションサービスも行われている。私は今暫くこの古い模型を眺めながら、巨大なピラミッドを探したり、マイホームを建てる場所を検討して楽しもうと思っている。