このコーナーでは、毎回巷にあふれる様々な商品の中から、その存在自体不思議な物の怪テイストのアイテムをエッセイ風に紹介します。



小学校時代、霊の声が入っていると謂う岩崎宏美のヒット曲「万華鏡」をクラスメートの女の子から借りてしまい、兄や近所の友人と一緒に恐る恐る聞いた。レコードの針が少しずつ問題のコーラス部分に近づくにつれ皆の緊張は高まり、霊の声が聞こえたその瞬間、こらえきれず発せられた友人の悲鳴で大パニック。一斉に部屋から逃げ出してしまい、後で回しっぱなしになっているプレーヤーを誰が止めに行くかで争いになった。当時あれ程恐怖に陥れた問題のレコードも,最近のテレビ番組の調査で、バックコーラスの消し忘れである事が判明。大人になった私はちょっとがっかりした気分になったりして…。と、前置きが本題とはあまり関係ない上にかなり長くなってしまったが、今回紹介するのは本物の万華鏡である。万華鏡の面白さは古くから知られているし、コレクターも多く趣味としても確立されているので、モノノケ・モノとしては捻りもなんにもないとお思いの方も多いだろう。確かに何を今更とも思うが、それを差し引いてもやはりこれは面白い。安い物から高級な物まで、まさにピンからキリまでだが、どれをとってもかなり楽しめる。特に最近は雑貨店等で外国製の万華鏡が手軽に手に入るので、見かけるとついつい買ってしまう。お国や作り手の違いで、色彩も仕組みも様々。仕事に疲れた時、イライラした時、覗くだけでいつでもミラーマンやヤプールの世界を体験できる。異空間への逃避という点でも、モノノケ好きの気分転換らしくて気に入っている。一口に万華鏡といっても、民芸品等でよく見かけるチャンバースコープから、本体に差し込まれた筒の中を物が落下するのを覗くワンドスコープ、外のギヤを回転させる事で模様を回すホイールスコープ、丸く飛び出したレンズで景色を取り込むテレイドスコープ等、実に様々で物によって見え方も千差万別。ホイールスコープ等は回転するホイールに宝石が散りばめられた高級品もある。とは言えどんなに凝った万華鏡でも合わせ鏡の構造は同じ。こんな単純な仕掛けでこれ程まで美しい世界を見せられるのだから考えた人はエライ。まずはお店であれこれ覗いてみて、お気に入りを一つ手にしてみては如何だろう。職場の机上に置いておけば、いつでも異次元空間に誘ってくれる筈である。