このコーナーでは、毎回巷にあふれる様々な商品の中から、その存在自体不思議な物の怪テイストのアイテムをエッセイ風に紹介します。



57年間連れ添った妻に先立たれた男の前に、ある日突然姿を現した白い犬。不思議なことにその犬は彼にしか姿を見せなかった。見えない犬の話に夢中になる父を心配する子供達。しかしそんな彼らの前にもやがて白い犬が…。130万部を超えるベストセラーを記録したテリー・ケイ原作の「白い犬とワルツを」。不思議な白い犬を中心に、夫婦の絆、家族の絆について優しく描いた作品である。昨年は日本人キャストで映画化もされた。私も昨年の夏、遅ればせながら原作の方を読んだ。なんといっても印象的だったのはその神秘的な犬の存在だった。主人公のもとへどこからともなく現れて、そっと寄り添うその姿に、自分の前にも現れてくれないかなと思った。時が下って、昨年のクリスマス。DVDショップをうろついていた私は一冊の無料小冊子を手にする。たまたま手にしたそれは映画「ピンポン」の配給会社アスミック・エースの発行しているDVD情報誌だった。中をパラパラめくっていると「白い犬とワルツを」の映画についての情報も載っていた。この映画もどうやら同じ配給会社だったらしい。無料配布とはいえ、内容は充実していて、最後のページにはなんとプレゼントのコーナーまであった。しかもアンケートに答えた人の中から抽選で5名に件の白い犬のマスコットが当たるというのだ。写真で見るマスコットはどうみてもチープな作りだが、カバーイラストにあるような顔の長い白い犬だった。欲しいっ!と思った私は早速官製葉書を購入。しかし送る気満々でアンケートには答えたものの、年を越すまで投函するのを忘れていた。結局三賀日を過ぎた頃、送りそびれていた年賀状と一緒に送ったような次第。そんな私の事だから当然その事すらも忘れていた。さらに時が下って2月の頭。仕事に疲れて帰宅した私は、ポストの中に入っている何やらこんもりとした封筒を見つける。中から出て来たのは青い透き通った瞳の白い犬だった。想像通りチープな作りだったが、そのどこか悲しげで優しい顔を見ているととても癒される。白い犬は私の前にもちゃんと姿を現してくれたのだ。