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このコーナーでは、毎回巷にあふれる様々な商品の中から、その存在自体不思議な物の怪テイストのアイテムをエッセイ風に紹介します。
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タマちゃんである。とうとうタマちゃんである。このコーナーでは毎回様々な物を取り上げているが、これだけには手を出すまいと思っていた。最初にタマちゃんが話題になった時、アザラシ人形を付けた吊し飾りを売りに来たおばさんが取材を受けていた。タマちゃん騒動自体の奇妙さとそういった所に必ずといっていい程現れる便乗商売。一瞬食指が動いたものの、こういうのはB級商品を扱うライターが好んで取り上げるテーマなのでうちじゃないなぁと思い止まった。その後も加熱するタマちゃん報道と押し寄せる見物客は鎮まる気配はなく、当のタマちゃんもそれを知ってか知らずか住処を転々とし、思いがけない場所に姿を現しては騒動に更なる拍車をかけた。やれ「守れ」だの、それ「見守れ」だのと今までアザラシの事なんて気にもかけず生活して来た人達が、以前からアザラシと共存しているかの如く争う姿に、「ここはアラスカか?」と疑問に思った人も少なくなかろう。しかし、生き物の持つ神秘的な生態を目の当たりにした時の驚きを考えると、こういった騒動も致し方ないのかもしれない。私は以前、ある公園で大きな檻の中で飼育されている鶴を見て非常に驚いた経験がある。そんな場所にいる筈のない物が思いがけず居た驚き、そして本やテレビでよく知っている筈の生き物を実際に近くで見た時の、新鮮な感動は今でも忘れられない。そういった点から考えると、多摩川付近の住人が野生のアゴヒゲアザラシを目撃した時の衝撃はさぞ凄かった事だろう。そういった生き物に対する驚きや感動の中には、物の怪に対する畏怖や畏敬の念みたいなものが見え隠れしていて面白い。写真の「タマちゃんの蒸しケーキ」は当然ながら今回の騒動に乗っかる形で登場した商品である。発見したのは都内のコンビニ。タマちゃんとは縁もゆかりもない場所のお店のレジ脇に並んでいた。第一屋製パン製で100円、中には苺ジャムが入っている。なんだかなぁと思いつつも、ついつい購入。この寂しげな商品戦略に胸が苦しくなって、結局このコーナーで取り上げてしまった。これでは仕掛け人の思うツボだが、この騒動によってアゴヒゲアザラシという生き物に注目が集まった事だけは間違いない。これを機会にアザラシだけではなく、身の回りに棲息する様々な生き物達に興味や関心が向いてくれる事を願ってやまない。
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