夜は物の怪達の世界。日本には物の怪達が徘徊するとして、特に外出を戒める日があります。この日はどちらかというと物の怪達がやって来るというより、物の怪達の現れる場所に近づかないようにという意味あいが強いですが、物の怪達の生態を知る上では非常に重要な日といえるでしょう。「百鬼夜行日」と呼ばれる日は、夜、沢山の物の怪が町を歩き回ると謂われています。夜行日は各月で決まっていますが、12月は辰の日、1月は子の日と謂われています。この夜行の日に現れる物の怪に「夜行さん」がいます。主に徳島県で伝承されている首の無い馬に乗った鬼の様な怪で、夜行日や庚申の夜に町を徘徊します。地域によっては大晦日や節分の夜にやって来るとも謂われ、その姿も鬼ではなく、首の無い馬だけが出現する所もある様です。家を訪問する訳ではありませんが、日にちを限定して出現する怪というのもいます。紀伊半島の山中では12月20日に山に入ると「イッポンダタラ」と謂う一つ目一本足の怪に遭うと謂われています。この日は「ハテノハツカ」と呼ばれ、この地方の人は決して山入りしないそうです。「一本ダタラ」は「猪笹王(いのささおう・いのざさおう・いざさおう)」と謂う猪の怪が化けた物とも謂われています。


夜行さん(徳島県)
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(左)猪笹王(右)一本たたら
(共に大台ヶ原の民芸品)